前フリ
「ねー千春ちゃん。しりとりしようよ」
「……今レポート書いてて忙しそうなのが見えない?」
「見えるよ? ほら、早くやろうよー」
「……じゃあ、みかん」
「んっ、駄目だよ千春ちゃんそんな事したら……、で『ら』」
「……らっこ」
「こんな時間じゃ美夏ちゃんに聞こえちゃうよぉ……、で『お』」
「お前もう実家帰れ」
二人遊び
「暑いねー千春ちゃん。暇だよぅ」
「んー、最近何もしてないしね」
「思わず自分のキャラ忘れちゃいそうなくらい暇だよ」
「歩は忘れてるくらいが丁度いいよ」
「いいよって可愛いよって事? そうなの? やだー照れちゃ」
「私が楽でいいよってこと」
「途中で遮るのやめてよ!」
「それにしても暇だね」
「そうだねー……」
「んー……」
「……ちょっと。会話繋げる努力くらいしなよ千春ちゃん」
「でも面倒だし」
「じゃあ、しりとりでもしようよ」
「……歩としりとりしたら脳みそ腐りそうで嫌」
「そ、そんな事ないもん! 今回は単語しか言わないから!」
「本当に? 美夏ちゃんからちょっと何してるんですか何があったんですかどうせなら見せて下さい千春さん千春さーんって鬼のようなスピードでメールくるのはもうごめんなんだけど」
「千春ちゃん、美夏ちゃんの物まね上手だねぇ」
「まあ普通のしりとりならいいよ。じゃあ、しりとりのりで『理科』」
「貝合わせ」
「……せかい」
「いっちゃう?」
「……うま」
「並みサイズ」
「なんで下ネタにしたがるっていうか馬とサイズなんて尻取ってないし!」
「恥ずかしがらずにちゃんと馬と並みサイズを繋げてよー」
「ウサ゛イ」
「それは並び替えっていうんだよ。濁点も別にしちゃってずるいよ」
「うざい」
続二人遊び
「やっぱり暇だよー」
「……」
「……ぱぱぱぱーん、ぱぱぱぱーん、ぱぱぱぱんぱぱぱぱんぱぱぱぱんぱぱぱぱん」
「あいらーびゅーふぉえーばーちゃんちゃらたーらーらー」
「結婚するならぜ○しぃでー」
「……しょーもない事させないでよ」
「私と千春ちゃんに子供できたらさー」
「急にわけの分からない話ふるのやめてよ。結婚繋がり?」
「アユムとチハルだから名前はどうしようか。女の子だといいねぇ」
「……1文字ずつ取ってハム?」
「うわぁ」
「いや心底嫌そうな顔しないで、突っ込んでくれないと困るんだけど」
「何でもっと真面目に考えようとしないの!? お腹の赤ちゃんが嫌いなの!?」
「マジ切れしないでよ……。ていうか、もう出来てる設定なんだ」
「だって出来ちゃった婚とか流行ってるしさ」
「そもそも女同士だから出来ないっていうか私そんな趣味ないし」
「……千春ちゃん、私の事嫌い?」
「え、な、なんで泣いて……嫌いじゃないけどだってえーと」
「私は千春ちゃんの事好きだよ? 駄目なの?」
「そのっ……私だってほんとは」
「うわ、顔真っ赤だよ。冗談なのに照れちゃった? あ、本気になったー?」
「……私時々あんたの事殴りたくなるよ」
続続続二人遊び
「――好きなのはほんとだよ?」
「……」
「千春は私の大切な幼馴染みだもん。大好きだよ?」
「……呼び捨てにしないでよ、歩のくせに」
「あいたっ。照れ隠しに叩くのやめてよー」
「照れてないってば」
「ほらほら、ぎゅーってしてあげる」
「ああもう暑いからくっつくなってば!」
「よいではないかよいではないか」
「変な所触るな!」
「よいではな……あ、美夏ちゃんからメールきた」
「なんて?」
「あとで千春さんの恥ずかしい写メ送ってね」
「引っ越せって返信しといて」
「歩さんだけずるいじゃないですか!」
「……」
「……ねー、壁越しに答えるのはちょっとどうかと思うよ」
「意表をついてベッドの下とかの方が良かったですかね」
「引っ越せ」
続続続続二人遊び
「ねーねー、ゲームしようよ千春ちゃん」
「どんなの?」
「私が何言っても、うんとしか答えたら駄目だよ?」
「うん」
「こ」
「……」
「千春ちゃんは私の事が好きですかー?」
「……うん」
「こ」
「……」
「小さい頃、千春ちゃんのお嫁さんになりたいって私が言ったの覚えてる?」
「……うん」
「こ」
「……」
「お母さん達に女の子同士だから無理だよって笑われて泣いちゃったよね」
「……うん」
「こ」
「……」
「懐かしいなー。いっぱい思い出あるよね」
「今まさに台無しにされてるけどね」
「あ、千春ちゃんの負けー」
「黙れ」
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