【私の彼女もおあずけができない】
こんばんは、あなたの心のスイートエンジェル歩です。
学校の課題が終わらなくて連日徹夜続きだったのでそろそろ寝たい私です。眠たいです。
「……あの、千春ちゃん」
「何?」
忙しいからって理由でしばらく別々に寝てたけど、今日から同じベッド解禁した途端にやたら耳だの髪だの触ってくる千春ちゃんです。眠たいんです。
「ほんとにね? ほんとに悪いとは思ってるんだけど、私そんな元気ないのね?」
「別に寝てていいよ。気にしないから」
「いやいやいやいや」
そんな、人のお腹めくりながら言われても。
いつの間にか私の上に移動してきた千春ちゃんをぐいぐい押し退けながら呻く。
寝てていいも何も、絶対寝かせる気ないよねそれ。台詞と行動が矛盾してるよね。ていうかほんと眠たいんだよね。
「だから寝てていいって」
――だから気になっちゃって寝れないんだってば。
なんだろう。私としては昼間のうちにいっぱい喋ったりごろごろしたりちゅーしただけで結構十分な感じなんだけど。千春ちゃんって暇さえあればすぐ先に進みたがるっていうかなんというか。
いや、千春ちゃんのことは好きだからいつもはいいんだけどね?
今はほら、眠たいじゃない?
「……もー、なんなのよぅ。あのねぇ、千春ちゃんだって私が寝てる間にしてもつまんないでしょ? ちょっとは我慢してったら」
「ん」
思わず口を尖らせて抗議すると、千春ちゃんがしょんぼり肩を落とす。めくっていたパジャマを戻して、もそもそと隣に帰ってきた。
やっと課題で失われた睡眠時間を取り戻せるよと瞼を閉じたのもつかの間、名残惜しそうに髪の毛をいじくったままの千春ちゃんが呟いてくる。
「でも、これはこれで、落ち着くっていうか。寂しかったし。歩が嫌ならやめるけど」
眠たいんだけども。
「……嫌なわけじゃないけど」
「いい?」
「でも途中で寝たからって怒らないでよ? ほんとに眠いんだからね?」
「うん」
こんな甘えた声を聞かされたからにはどうにもこうにもならないので、おいでおいでと小さく手招きする。
好きだからこそ、どうにもこうにも。
眠たいんだけど、どうにもこうにも。
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